2012年7月14日土曜日

実はカーペットがハウスダストをふさいでいるという話(カーペットについての大きな誤解)

「カーペットを敷くとダニが沸く」
「アレルギーがあるならカーペットは敷いてはいけない」

いわゆる都市伝説とでもいうのでしょうか。我々カーペットを扱う者が悩まされ続けてきた華麗なる誤解です。本日は、カーペット伝道師の私が、その誤解についてお話したいと思います。

◎カーペットとダニにまつわる大きな誤解
まず。「カーペットはダニが沸く」は誤解です。カーペットがダニの棲家になる得ることは否定しません。ただカーペットからダニが生まれてくるわけじゃありません。そもそもダニはどこにでも住んでいるもの。いかに増やさないかがポイントなのです。

ダニが増える要素は、温度と湿度と食べ物そして棲家。 これら全ての条件を満たしているのは布団。布団は人間の体温で暖められ、寝ている間にかく寝汗で湿度も充分、そして人間の皮膚から落ちる脂肪分など食べ物も充分。 もちろん繊維の塊である布団はダニのとって充分すぎるくらいのスペースがありますね。ただ、布団はその構造が分厚いため、生息しているダニも基本的には奥の方にいるらしい。表面にはあまり出てこないのです。

それに引き換えカーペットは厚みがせいぜい10mm程度ですから、奥のほうに逃げ込む場所がない、だからダニはカーペットの表面近くで生活していることになり、カーペットの方がダニが多いように思われてしまうのです。

ひと口に、ダニと言ってもいろんな種類があります。家庭内に生息するダニの多くはコナヒョウヒダニに代表されるイエダニ類。ただしこれらは直接的には人間には悪影響を及ぼすことはありません。 人間にとって問題なのは、ツメダニなどのように噛むもの。ツメダニはイエダニを餌にするそうですので、イエダニが増えすぎるとツメダニの発生率も高くなるというわけです。

イエダニは直接的な影響はないと言いましたが、これが死んで死骸となると少し厄介です。イエダニが死骸となって乾燥すると微粒子化し、これがハウスダストとなって空気中に漂い、人間がそれを呼吸と共に吸い込んでしまうのです。 ダニの死骸の破片は人間にアレルギー反応をさせるアレルゲンですので、人によって、さまざまなアレルギー症状を引き起こしてしまいます。

ここでアレルギー反応についてですが、それは、花粉症などでよく説明されるとおり、花粉などのアレルギーを引き起こす可能性がある物質(アレルゲン)が、目、鼻、喉などの人間の粘膜部分に触れたときに起こる反応ですね。 アレルゲンとして代表的なものが、花粉、カビ、そしてダニの死骸。これらが微粒子のハウスダストとして部屋中に漂っています。決してカーペットの素材そのものがアレルゲンであるわけではないのです。
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◎カーペットの「ダストキャッチ効果」
  アレルギー反応を防ぐための、効果的な方法はアレルゲンを吸い込まないこと。そのためにはアレルゲンを空気中に漂わせないことなんです。

  これは意外に思われるかもしれませんが、カーペットを敷いている部屋ほど空気中のハウスダストの量が少ないのです。なぜなら、カーペットにはダストキャッチ効果という機能ガあるから。

これについて少し説明しましょう。 ハウスダストというのは、非常に小さな微粒子なので人が歩き回ったりしてすこしでも空気の動きがあるとすぐに空中に舞い上がります。そして長い時間をかけてまた床の上に落ちてくるのです。

一説によると一度舞いあがった微粒子がすべて落ちるには9時間かかるといわれています。人がいるときは空気が動くからまた舞い上がり、いつまでの空気中を漂っていることになります。 掃除機をかければ大丈夫と思われるかもしれませんがそれは違います。フローリングの上で掃除機をかけようとするその動作で空気が動き微粒子のハウスダストは空中へ舞い上がってしまうからです。

そこで重要な役目を果たすのがカーペットです。カーペットの表面というのは細かく見るとでこぼこ入り組んでいます。このため上から落ちてきたハウスダストはカーペットの中に入り込んだり、カーペットの毛にひっかかったりして空気中に舞い上がりにくくなる。

つまりカーペットがダストをキャッチしてしまうわけです(ダストキャッチ効果)。
だからカーペットが敷いてある部屋にはハウスダストの浮遊量が少ないというわけです。

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  カーペットを叩けばホコリが立つのは、カーペットがハウスダストを抱え込んでいるからなのです。そう考えるとカーペットは空気清浄機と言えますね。しかも電気代も要らない。カーペットがホコリっぽいから嫌いというのは、ゴミがたまっているゴミ箱をみて、このゴミ箱嫌いって言ってるみたいなものなのです。

繰り返しになりますが、アレルギーが引き起こされるのは空気中に漂っているハウスダストが呼吸とともに吸い込まれ、鼻や喉や目の粘膜に付着するから。 カーペットは、空気中のハウスダストの量を減少させるからそれを吸い込んでしまうリスクも軽減する。だからアレルギーの人にとってはカーペットは敵ではなくむしろ味方だと言えるわけです。

  「アレルギーがあるならカーペットは敷いてはいけない」これは大きな誤解、というより間違いであることにご理解いただけますでしょうか。空気中に漂ったハウスダストをカーペットで取り込んでしまうのがいいか、それとも自分で吸い込んでしまうのがいいかって話ですね

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◎これがカーペットのハウスダスト対策!
さて、問題はここでは終わりません。カーペットの表面にはハウスダストがたまっているわけですから。どうするか?

  ここでカーペットのお手入れが必要となります。ひとことで言うと…… 掃除機でハウスダストを吸い上げることです! 最新式の空気清浄機だって、フィルター取り替えたりとかメンテナンスは必要でしょ。これと同じ事です。

カーペットの手入れについてこんなやり方をオススメします。

1.掃除機をかける。
 頻度は毎日が望ましいが2~3日に一度でもOK。できるだけ時間をかけてゆっくり掃除機をかける。1平方メートルを1分間くらいかけるのが理想。

2.風通しをよくする。
じめじめはダニの増殖を増やします。つまりアレルゲンの元になるものの数が増えることになるので、1ヶ月に一度程度でよいので敷物を上げて裏面にも 空気を通してやるのが理想。

3.食べ物をこぼさない。
同じく、食べ物はダニの餌になってしまう。

4.ぬらしたら乾かす。
ドライヤーなどを使うのもいいでしょう。これもじめじめ対策。

色々書きましたが、カーペットのお手入れの究極は…… 「掃除機掛け」 につきます。

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いかがですか?カーペットにまつわる誤解、ご理解いただけたでしょうか? 

カーペットを正しく使ってアレルギーのない生活を。これがカーペット伝道師の私からのメッセージです。

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