2012年7月14日土曜日

夏こそウールカーペットを!

ラグ、カーペットって秋冬のイメージがありますか?

一般に、そんなイメージがあることはカーペット伝道師である私も認めざるを得ません。 ラグ、カーペットの魅力が暖かさ。。。だけであるのならそれもいいでしょう。でも、カーペットの魅力はそれだけじゃない。 むしろ、クッション性からくる快適性や安全性のほうが大事な機能なのです。

じゃあ、皆さん、夏場はどうされているのでしょう?
  ここで夏場の床についていくつかパターンをあげてみましょう。

(I) 夏はラグやカーペット敷かない!    なるほど。イメージから言えばごもっともです。でも フローリングのままだと、ジメっ、ベトッとしてませんか? 私はこれが嫌い。 a1.gif  

 (II) 夏用のカーペットを敷く。  なるほどこれはいいですね。それではどんなものを?

  1.一番いいのは籐の敷物。   藤じゃないですよ。竹かんむりで籐。 これは吸湿性にも優れ、高級感もありますね。 表面はさらっとしてるし、触れてもヒヤッとした感じありますから、 夏場の敷物とし ては一番オススメできます。

 2.竹  籐と似たようなのが竹のラグ。 これも竹そのものの素材ならいいんですが、ほとんど のものは表面が樹脂で仕上げられていて湿気のおおいときにベトッとするのはフローリ ングとあまり変わらなかったりして。ちょっと中途半端な素材です。

  3. イグサ、、、い草。 畳と同じ素材です。  吸湿性もよいので表面がさらっとしてるし、そしてなんと言ってもイグサ独特の香りは まさに日本の香 り、、、、我々日本人が安らぎを感じる敷物です。  ただ、残念なことは 使える時期が限られているかなという点。それともうひとつは、 品質の悪いものが増えちゃったっていう点です。夏の一時期だけはよく売れるものだから、、、そういうものは直ぐに一部の業者さんが 「安かろう悪かろう」って商品つくってしまうんですね。どうせ一時的に使う物だから、悪かろうでもそれほど困ることはないでしょう。。。でも、なんとなく、心の豊かさが感じられなくなるから、なくてもいいんじゃないですか  って話。

  4.綿素材  これは夏のものとしては定番ですね。綿100%のきっちりした商品ならいいんですけ ど、イグサ同様、安かろう悪かろうが存在するのが玉に瑕かな。

  5.そして、ウール。  ウールという言葉の響きが温かさを連想してしまうからイメージ的には夏用とは思われ てないのですが、 実はウールは綿よりもイ草よりも もちろんナイロンやアクリルなどの価格繊維と  比べるとはるかに保水率というのが高いのです。 

簡単にいうと 湿気を吸い取る力が 強いということ。(データによるとウールの保水率は綿の倍、ポリエステルの40倍)  慣習的に、、、夏は湿気を良く吸う綿がいいよ、なんていわれてきましたが 湿気を良く吸うという点ではウールのほうがレベルが上だったってことです。

  だから、ウールでいいじゃないですか。  夏だけのこと考えたら籐がいいですけれど、それ以外の時期のことも考えたら ウールでいい、いや、ウールがいいじゃないですか。 見かけのイメージにとらわれてしまってはいけません。 ここでウールカーペットの魅力について、  カーペット伝道師として私なりにポイントをまとめさせて頂きます。 a2.gif

だからウールカーペットはすばらしい。

1.冬暖かく、夏快適    よくウールのよさとして、「冬暖かく、夏涼しい」といわれるのですが、涼しいとま  で言うのは私は言い過ぎだと思います。 上記にも述べましたが吸湿性がよく表面が  さらっとしているから夏場もじめじめべとべとしない。だからとてもいいんですが、  涼しいかといわれると。。。??? 「夏でも我慢できるレベル」  涼しいのがよければ、今時は、薬品を使って涼しく感じさせるような商品もでてきて  いますので、そういうものを使うのもありだと思います。ただ私の考えは、ラグ、カ  ーペットは1年中使うというのが前提ですので夏場は若干見劣りすることがあっても  、シーズンを通しての総合力でウールを選ぶべきだと考えるのです。

  2.湿気を吸収し、また放出したりする。 ウールの快適さの理由でもあります。 ウールは表面が魚のうろこのようになってい  るとご理解下さい。 そのウロコが室内の湿度によってわずかに開いたり閉じたりす  る。 その隙間を水蒸気が移動し、室内の湿度を調整する機能があるわけです。 とは言っても、最新式のエアコンというわけではありませんから、部屋をカラカラに  するほどは吸湿しませんが、少なくともウール表面に水分が付着してじめじめ、べと  べとするような状況は避けてくれますね。

3.弾力性と回復力    ウールはゆっくり力をかけて引っ張ると30%程度伸びます。そして力を緩めると元  通りになろうとします。ゴムのようにビュンと元に戻る訳ではありませんが、時間を  かけてもとの状態にまで回復します。この弾力性が、カーペットという製品になった  とき、人間の体重を支える大切な役割を果たすのです。  回復力についていえば、たとえば、ウールカーペット敷いた上に思い机などを置くと  、その下にカタが残ります。 重い力で何年も踏みつけられたものは修復不可能なケースもありますが、パット見た感じ無理かなと思っても、しばらく時間をかけると いつのまにかカタが目立たなくなってきます。 スチームなどをあててやると、より  その効果は高まるようです。

4.汚れにくく、汚れが取れやすい。 これもとても、大事なポイントですね。ホテルに行くと床には必ずカーペットが敷か  れています。普通のホテルだと耐久性重視でナイロンカーペットが使われていること  も多いのですが、一流、超一流になると必ずウールカーペットが使われます。 なぜか、 それはウールの持つ高級感に加え、ウールの「汚れにくく汚れが取れやすい」という性能が高く評価されているからなのです。 先ほどご説明した通り、ウールの表面はうろこ状になっており隙間があるので細かい  水蒸気は通しますが、分子量の大きい水分子は通さない。 撥水性つまり水をはじく  機能があるのです。 だから汚れをはじいて汚れ難い。  

5.丈夫だけれど、丈夫過ぎることはない    汚れの取れやすさに関連することなのですが、ウールは丈夫とは言うものの、摩擦を 受ければ、それなりに削れたり、また遊び毛と呼ばれるムダ毛がでたりします。 丈夫過ぎない。この若干の弱さのお陰で、一旦ついてしまった汚れも、一緒に削れて落 ちていくのです。 一流のホテルに行くと床のカーペットが綺麗なのは、ウールカー  ペットをしっかりとメンテナンスしながら使っているからなのです。

  6.その他  そのほかにも、燃え難い、抗菌性がある、ホルムアルデヒドを吸着してくれる等々 ウールのよさは他にもありますが、

上記5点が特に、私カーペット伝道師がウールを強くオススメする理由です。 いいところばかり言って、ウールに弱点はないのか? というお声もあるかと思いますので、敢えて、ウールの弱点と思われている部分についてもご説明したいと思います。

遊び毛・・・  ウールには限りませんが、紡毛糸と呼ばれるものからは綿毛のような細かい毛が抜けてきます。糸そのものが抜けてでているわけではないのですが、ウールの繊維の端っこのほうがキレ落ちて糸くずのようにでていると考えてもらったらいいでしょう。決してウールの毛そのものが抜けているわけではないのですが、 使い始めのころ、その量が多く、 黒いズボンをはいていたりするとそこに付き、気になるという方がいらっしゃることは事実です。ただ、これはウールの利点の項でも述べたとおり、この遊び毛とともに汚れが落ちていくというプラスの面も持ち合わせいることをご理解いただければ幸いです。

臭い・・・・ まれ~に、ウールの臭いが嫌いという方がいらっしゃいます。ずっとカーペット屋をやっていて何年かに一度くらいの割合ですけど。同じウールでもムートンと呼ばれるもののように羊の皮がそのまま残っているもの、あるいはトルコやイランの手織りの絨毯で、ウールの洗濯処理が不十分でウールの油分がそのまま残っているもののような場合に臭いやすいケースもあるようです。しかしながら、日本で生産されている無地カーペットのような製品になっているケースはほとんど問題はありません。

  以上少し長くなりましたが、、、 夏場のじめじめ、ベトベトした床をどうするかという点において、 ウールカーペットがオススメであること、そしてその理由について カーペット伝道師の考えを述べさせて頂きました。ご参考にして頂ければ幸いです。

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