2012年8月27日月曜日

 「ウィルトン織りカーペット」について

外国の映画などを見ているとよくでててくるのですが、家族の団欒の場、 リビングルームの床には ペルシャ絨毯のようなデザインの入った敷物が 敷いてあります。 実際に高価な手織りのペルシャ絨毯である場合もありますが、多くの場合は 機械織りのウィルトン織り柄物ラグ(カーペット)であることが多いようです。

さて、そこで本日は、「ウィルトン織りとは?」、「ウィルトン織りカーペット」ってどんなもの? ということについて説明していきたいと思います。

まず、ラグ、カーペッはの製法の違いによって大きく2つに分類できます。
「タフテッドカーペット(タフトカーペット)」 と 「織りカーペット」です。

タフテッドカーペットというのは、基布の上にラテックス(接着剤)を塗り、パイル糸を植えつけたもの。 田植えをイメージしてみてください。田んぼの地面が基布、植えつけていく稲が パイル糸です。根元でラテックスで固定します。田んぼでは間隔が開いていますが、 その間隔をせまくして植えつけています。 この方法により、低コストでカーペットが 製造できるため、今ではこのやり方が一般的となっています。

図を参照↓ (タフテッドカーペット) 701.png

一方、織りカーペットは、織物ですから、パイル糸を織り合わせてつくるもの。 基礎になる下糸に、パイル糸を絡みあわせて、織り込んで作っていきます。 パイル糸が下糸に直接絡まっているから丈夫で抜けない。断面図でみてわかるように カーペットの厚さ分のほとんどがパイル糸ですから、丈夫で糸の特長がよく出やすい とも言えます。

ウィルトン織りカーペット ↓702.png

織りのなかで、さらに分類が分かれます。それが手織りと機械織り。 これはわかりやすいですね。

手織りは、ペルシャや、中国のものが有名。 機械織りのなかでもっとも代表的なものがウィルトン織りカーペットです。 18世紀、英国のウィルトンという町で発明された機械を使うためウィルトン織り カーペットと呼ばれます。

ウィルトン織りは製法の問題ですから、デザインや素材とは直接の関係がありません。 つまり、無地のもの、すべてのデザイン物(柄物)が含まれるのですが、 一般にウィルトン織りという場合、ペルシャ絨毯風のデザインを施されたものを 呼ぶケースが多いようです。

こんな感じです↓↓
703.png

さて、ウィルトン織りだと何が良いかということなんですが、

ズバリ、耐久性。作りが頑丈だから、

パイル糸は耐久性の強いポリプロピレンやウールで作られることが 多く、少々ふみつけてもへたらない。 フワフワ、フカフカという感じではなく むしろ最初は硬い感じがするかもしれません。が、その分しっかり 体重を支え、 ズシっと体重を掛けると、床が踏み返してくるような そんな錯覚すら感じることがあります。

ソファに腰掛け、家族で仲良くテレビを見る。 そんな暖かいご家庭の 足元にとてもよく似合うのがウィルトン織り柄物カーペットと言えるのではないでしょうか。

柄が入っているから、汚れが目立ち難いというのも大きな特徴です。

一言で柄物のウィルトンカーペットといっても品質はピンからキリまであります。 ウィルトン織りのカーペットの中での品質の違いは 素材と織り密度によって生まれてきます。

素材は、 ウール、アクリル、ポリプロピレン。 やはり無地カーペット同様 ウール製のものが素材としてはもっともいいと言えますが、 最近ではコストが比較的安くできるポリプロピレン製のものが主流と なっており、また、ポリプロピレン製のものにも非常にいいものが でていますし、 ポリプロピレンであれば遊び毛はまったくと言っていいほど でませんので、 遊び毛が嫌いな方にはポリプロピレン製のものが オススメと言えるかも知れません。 

織り密度。これは一般に1m四方(つまり1平方メートル)あたりに どれだけの数の織り目があるかで表現されます。 たとえば1平方メートルあたりに10万個の織り目があれば 10万ノット、 50万個あれば50万ノット。 1ノットは結び目の数、ひとつの結び目に対してパイルの数は2つありますので 10万ノット=20万ポイント と呼ばれたりします。

画像をご参照ください。 704.png

密度が高ければ高いほど、柄が細かく表現できるし、 パイル糸の量が多いから丈夫でしっかりしたものになります。

705.png

画像で表面の粗さの違いをご理解いただくことができましたでしょうか?


一般に世に出回っているものは9万ノットくらいのものから 75万ノットくらいのもの。  35万ノットくらいのものが価格的にも 品質的にも一番バランスがとれていいのではないかと カーペット伝道師としては考えています。

以上、ウィルトン織りカーペットの構造や効用について述べてきましたが、

「もう随分経つのに、風合いが変わらない」とのお客様の声をよくお聞きします。

ワンランク上のフロアライフ演出のためにも、 ウィルトン織りカーペットは かなり貢献度の大きいアイテムであると思います。




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