本日は、ギャベの魅力についてお話することにしましょう。
イラン南西部 ザクロス山脈
そこで遊牧生活をする遊牧民が手織りでつくる「毛足の長い絨毯」。それがギャベです。
ざっくりとした太い羊毛を、天然の染料で染め上げ、
こんな風に、テントの横でひと結び、ひと結び織り上げていく。
するとこんな↓ざっくりとした手足の長い絨毯が織りあがる。
「ギャベ」という言葉はペルシャ語で「粗い」という意味を持つ。その言葉通りざっくり、粗っぽい作品に仕上がる。形だって長方形じゃなく、少し歪んでいるのが普通。
いわゆるペルシャ絨毯と呼ばれるものであれば、その結び目の数は1平方メートル当たり100万個にも及ぶものがあるが、ギャベはせいぜい1万個程度。
裏から見てもその粗さがわかるでしょう。
その、ギャベ、彼ら遊牧民は、このようにして使います。↓
そう、ザクロス山脈の地面は、岩のように硬い。 野営地を見つけた遊牧民はテントを組み、地面にギャベを何枚も敷きならべて即席の床とするのです。 大きなものを1枚ドンと敷けばよさそうなものであるが、移動する遊牧民にとって持ち運びに便利である必要がある。そのため、ギャベは一人で持てる程度のサイズであることが多い。
ギャベのデザインは、一般のペルシャ絨毯のようにそれぞれの文様に意味があったりはしない。ザクロス山脈の大地そのものをキャンバスとして、遊牧民が即興で、気まぐれに織り上げていく。
色はまさに感性で決める。 砂漠の色は土色やベージュカラー、 青はオアシスの水の色,緑は草原、そして赤やオレンジは沈む夕日の色、それらを自由気ままに織り交ぜながらデザインを仕上げていく。
「一面の土砂漠、遠方に動物の姿が見える」 そんな情景をそのまま織り上げるとこんなふうになる。
オアシス出現。 そして夕日に染まる。
ルールはひとつ。「 感性の赴くまま気まぐれに。」
オアシスと菜の花畑と夕日と動物がごちゃ混ぜになっててもかまわない。
まさに自由気まま。 まるで小さな子供がクレヨンでお絵かきをしているかのよう。
その素朴で自由奔放なカラー、デザインがギャベの魅力なのです。
さて、そのギャベを日本の、リビングルームに敷いてみましょう。
まさにナチュラル。一見無地のように見えますが、「地」のエネルギーに満ち溢れた
まさに 大地のデザインとでも呼ぶべき作品です。
大地が夕日に染まりました。「壮大」ですね。
オアシス・・・水は大切。
そして、草原の緑。安らぎのグリーン絨毯です。
ボーダーに花やら動物やら、、、色々入って楽しいデザインに仕上がってます。
いかがでしょう? ギャベの魅力。 難しい理屈じゃなく、アートとしてあるがままに感じて頂きたいと思います。
が、ひとつだけ忘れてもらいたくないこと、それは、アートであると同時に、床に敷く敷物であるということ。しかも、ウールたっぷりの分厚く丈夫で、踏み心地抜群の敷物です。 足元でいつも皆さんを支えている。そんな実用性をも兼ね備えた。それがギャベなのです。