2013年4月2日火曜日

ギャベの魅力


本日は、ギャベの魅力についてお話することにしましょう。

 
イラン南西部 ザクロス山脈

そこで遊牧生活をする遊牧民が手織りでつくる「毛足の長い絨毯」。それがギャベです。

ざっくりとした太い羊毛を、天然の染料で染め上げ、

こんな風に、テントの横でひと結び、ひと結び織り上げていく。

するとこんな↓ざっくりとした手足の長い絨毯が織りあがる。

「ギャベ」という言葉はペルシャ語で「粗い」という意味を持つ。その言葉通りざっくり、粗っぽい作品に仕上がる。形だって長方形じゃなく、少し歪んでいるのが普通。

いわゆるペルシャ絨毯と呼ばれるものであれば、その結び目の数は1平方メートル当たり100万個にも及ぶものがあるが、ギャベはせいぜい1万個程度。 

裏から見てもその粗さがわかるでしょう。

その、ギャベ、彼ら遊牧民は、このようにして使います。↓

そう、ザクロス山脈の地面は、岩のように硬い。 野営地を見つけた遊牧民はテントを組み、地面にギャベを何枚も敷きならべて即席の床とするのです。 大きなものを1枚ドンと敷けばよさそうなものであるが、移動する遊牧民にとって持ち運びに便利である必要がある。そのため、ギャベは一人で持てる程度のサイズであることが多い。
 
ギャベのデザインは、一般のペルシャ絨毯のようにそれぞれの文様に意味があったりはしない。ザクロス山脈の大地そのものをキャンバスとして、遊牧民が即興で、気まぐれに織り上げていく。

色はまさに感性で決める。 砂漠の色は土色やベージュカラー、 青はオアシスの水の色,緑は草原、そして赤やオレンジは沈む夕日の色、それらを自由気ままに織り交ぜながらデザインを仕上げていく。

「一面の土砂漠、遠方に動物の姿が見える」 そんな情景をそのまま織り上げるとこんなふうになる。

オアシス出現。 そして夕日に染まる。

ルールはひとつ。「 感性の赴くまま気まぐれに。」
オアシスと菜の花畑と夕日と動物がごちゃ混ぜになっててもかまわない。

まさに自由気まま。 まるで小さな子供がクレヨンでお絵かきをしているかのよう。
その素朴で自由奔放なカラー、デザインがギャベの魅力なのです。

 
さて、そのギャベを日本の、リビングルームに敷いてみましょう。

まさにナチュラル。一見無地のように見えますが、「地」のエネルギーに満ち溢れた
まさに 大地のデザインとでも呼ぶべき作品です。

大地が夕日に染まりました。「壮大」ですね。
 
オアシス・・・水は大切。

そして、草原の緑。安らぎのグリーン絨毯です。

ボーダーに花やら動物やら、、、色々入って楽しいデザインに仕上がってます。

いかがでしょう? ギャベの魅力。 難しい理屈じゃなく、アートとしてあるがままに感じて頂きたいと思います。
 
が、ひとつだけ忘れてもらいたくないこと、それは、アートであると同時に、床に敷く敷物であるということ。しかも、ウールたっぷりの分厚く丈夫で、踏み心地抜群の敷物です。 足元でいつも皆さんを支えている。そんな実用性をも兼ね備えた。それがギャベなのです。

 
 
 
 

2013年3月13日水曜日

ラグ・カーペットの大きさの決め方

カーペットの大きさについて。

ラグ、カーペットのサイズをあらわすとき 畳 (あるいは帖)という単位がよくつかわれます。漢字を見ての通り畳何枚分かということですね。カーペットメーカーのカタログを見ると3畳、4.5畳、6畳、 8畳などがラインアップされています。 畳の部屋ならばそのままのサイズでぴったり合う事もありますが、畳のサイズも実はいろいろありますので、実際には合わないことの方が多い。
 
「部屋が6畳だから、6畳サイズのカーペット」という考え方は通じないと思ってもらったほうがいいでしょう。
 
じゃあ、カーペットの大きさってどうやって決めるのか??
 
こんな状況を想像してみてください↓
 
学生さんの一人暮らしかお父さんの単身赴任用のお部屋でしょうか。大きさは6畳サイズ(261x352cm)と想定し、その中にベッドやらテレビやら置いてみました。
この部屋にカーペットを敷く場合、一番のオススメはカーペットを全面に敷くこと。これが一番キレイしすっきりします。
しかし、実際にはベッドが備え付けてあって動かせないなんて多い。 備え付けでなくても一旦置いてしまったベッドを動かすのはかなり面倒……ですよね。
 
そんな場合はベッドを避けた形にしてしまいましょう。
こんな感じです↓
あるいは必要な部分だけ敷くんだ。ということであれば、こういうの↓もありです。 




パソコンデスクの下には110x130cm程度のデスクカーペット、そしてソファー、テーブルの下には必要なサイズのラグ。 この場合は110x170cmくらいです。
 
つまり、全面に敷く以外の方法をとる場合は こんな形のラグ、カーペットが必要だということなのですが、


 ところが、こんな形やサイズはどこにも売ってはいません。 じゃあ、どうするか? 
 
「オーダーメードで作るのです。」

この場合、デザインもシンプルな無地系のものがいいでしょう。ペルシャ絨毯風のデザインや、デザイナーが考えたようなお洒落なデザインのものはそもそもサイズ加工ができませんし、上に物を置くケースではデザインを隠してしまいますのでその意味でも無地系のものがオススメなのです。

 
ラグ、カーペットは、○○x○○cmの物が売っているから、ということではなく、実際に生活される方が、どの部分にどの程度の大きさで敷きたいかに合わせて決めるべきなのです。 

カーペット伝道師の私のところにもそういうご相談は非常に多く、一般に売られている200x250cmじゃ微妙に小さいから203x253cmにして欲しいだとか、足元だけにポンと敷きたいから80x130cmのものが欲しいだとか……、
 
でも、町の売り場にいっても、80x130cmなんてサイズは置いてないですし、オーダーメードといっても小さいサイズだと店員さんに面倒臭がられたりすることもあります。
 
カーペット伝道師として私は大いに叫びたい。お部屋の足元を見回してください。ぽかっと空いてるスペースがありませんか?足をポンと置くだけのスペースでもいいんですよ。そこに良質のカーペット敷くだけで、少し贅沢な気分になれます。 安物敷いちゃだめですよ。 サイズが小さいから価格もそれほど高くはなりません。できるだけ質のいいものを選んでください。

 
さて、次にもう少し一般的な、リビングダイニングのケースをみてみましょう。
これが最近もっとも多いパターンです。

まずダイニングテーブルの下にはダイニングカーペットを。4人掛けのテーブルであれば200x250cmが標準です。この図のように、横長に置いたラグの上にテーブルを縦長に置くのがポイントです。こうすることによって椅子を後ろに引いたとき椅子の足がフローリングにはみ出てフローリングを傷つけるということが少なくなります。
 
部屋全体のバランスで200x250cmが敷けないようでしたら、 190x250cmとか、185x255cmとか自由に設定してください。無地系カーペットであれば対応可能です。
 
そしてリビング部分、ここはお好みで、最近は200x250cmくらいのサイズのものが人気ですが。
ソファの前だけでいいいということなら140x200cm ↓

あるいは大きく取れるようなら240x330cmならもっと迫力があります。↓ 
リビングスペースのラグは以前はペルシャ絨毯系のデザインのものが使われる事が多かったのですが、最近ではここにも無地系のものを使われる方が増えています。シンプルで他のインテリアと喧嘩しにくいからでしょう。そこはお好みで。 リビングダイニングなら、リビング部分を柄、ダイニングは無地でとするか、あるいはその逆。といった選び方をするとよいでしょう。
 
以上、
 
カーペット伝道師として私がお伝えしたい事、それはラグ・カーペットの大きさは、ご自分の都合に合わせて考えてもらえればいいという事です。そうなると既製品では対応できなくなる可能性が高いですが、サイズオーダーメードだからといって特別に高くなるわけではありませんので、自分が必要としているサイズで作るのが一番いいですよ。ということです。

 

2013年2月24日日曜日

なぜカーペットを敷くのか?


なぜ、ラグやカーペットを敷くのか。本日はあらためてカーペットの魅力についてご説明したいと思います。

カーペットの魅力とは…

 
★装飾性: 床にご注目を。
 
これは見たまま。どんな部屋にも床があります。当たり前のことですが、その床、普段はあまり意識されることはないようです。でも考えてもみてください。天井は普段みることもないでしょう。壁は、窓も含めて、普段の生活で自然に目に入るところですが、それでも、一日中壁を見ていたり、壁に触れていたりするわけではありません。
 
ところが、床は、立っているときは足裏で、寝転がっているときは身体全体で接しているところ。座っていても足が接していますね。つまり床は人間にとって切っても切れないところ。
 
木目調のフローリングも悪くはないですが、もう少しカラフルなもの、あるいはデザイン性に富んだもので装飾しても罰は当たりません。ペルシャ絨毯風のデザインで重厚にするもよし、毛足の長いシャギーで豪華な雰囲気を出すもよし。
 
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★クッション性 : 踏み心地が大切

カーペット伝道師として私が考えるカーペットの一番の魅力はこの、クッション性です。歩行時に足首、膝、腰には体重の数倍のショックがかかると言われています。床が硬いとその衝撃はモロに伝わってしまいます。
 
靴をはいていれば靴底で吸収される衝撃もある程度あるでしょうが、我々日本人の素足での生活スタイルでは、家庭内の硬い床から受ける身体的ストレスはかなり大きなものなのです。 家庭内で歩き回る事はないと思われるかもしれませんが、そんなことはありません。主婦の仕事は重労働、硬い床では疲れがたまるばかりです。
 
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★暖かさ: これが大事。
暖かさ、これはカーペットの役割としては、もっともわかりやすいものかと思います。だから寒い時期にはカーペットが欲しいと思うのでしょう。最近では暖房器具の性能も上がっているとは思いますが、暖かさを確保するための基本は「衣」、服は人間が着るものですが、カーペットは床が着る物と考えてみたらどうでしょう。何より人に優しく、そして燃料を燃やさないから地球にも優しく、そして財布にも優しい。
 
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★ダストキャッチ効果: 部屋の空気がきれいに。
 
 カーペットはお部屋の空気をきれいにするという役割。最近にわかに注目されているのがこの役割。カーペットを敷いている部屋は空中を浮遊するホコリが少なく空気がきれいなのです。
上の絵、左はフローリングの部屋で空気中にホコリが舞っているイメージ。右の図はカーペットが敷いている部屋でホコリがカーペット表面に留まっているイメージです。 すみません、カーペット伝道師のへたくそな絵ではではわかりにくいですね。それでは断面図で見てみましょう。

↓これがフローリング。
表面がツルツルしているフローリングではホコリが留まるところがなく、少しの空気の動きでも空中に舞い上がってしまいます。あるデータによると空気中に舞い上がった微粒子のホコリが再び床に落ちてくるには10時間近い時間がかかるそうです。その間に少しでも空気が動けば再び舞い上がり、ホコリは常に部屋中を舞っていることになります。
 
この微粒子のホコリには、カビや花粉、ダニの死骸など、アレルギー反応の原因になるものが含まれています。空気中に舞っていると呼吸とともに吸い込んでしまうことになります。

 
そしてこちら↓がカーペットの断面図。
カーペットはパイル糸が密集しているため、その表面積は実際に敷いている面積の何百倍から何千倍にも及ぶといわれています。もう少しわかりやすくいうと、微粒子のホコリはパイル糸の隙間にもぐりこんで、ひっかかり空中には舞い上がらないのです。
「ほら、ホコリが隙間に入り込むんでしょ。だからカーペットって嫌なのよ!」という声が聞こえて来そうです。隙間に入り込むことは事実です。でもそのことで空気中に舞い上がることがなくなり、呼吸とともに吸い込むことがなくなるとすれば……どちらがいいのでしょう? 
 
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★防音性:階下への配慮
防音機能もカーペットが持っている有用な機能のひとつです。マンション生活で、階下の住人から「静かにして」と指摘されること。これは双方にとって悲劇です。フローリングにもいろんな防音対策はされているようですが、やはり、カーペット1枚、それもできるだけ厚いものを敷くに越したことはないですね。

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以上、カーペットの必要性について述べました。
 
特に特に、クッション性、ダストキャッチ効果、暖かさ
 
の3機能が大切だということを繰り返させて頂きます。




 

2013年2月19日火曜日

シャギーの品格


最近流行りのラグ、カーペットといえば、「シャギー」。シャギーとは、毛足の長い敷物のことです。私が中学生の頃、部屋にシャギーを敷いてもらっていましたので、私の好きな敷物のひとつでもあります。当時のものは、土足にも耐えうるような丈夫なナイロン製のシャギーカーペットでした。 しかし、最近では首を傾げたくなるような品質の品物が巷に出回っているようです。

皆さんが、よく知らずに「シャギーラグってこんなもの」と思って、使っておられるとしたら、カーペット伝道師として少し悲しいので、「シャギーの品格」というものに触れてみたいと思います。
 

まず、これをご覧ください。これはいわゆるふつうのループカーペットの断面図です。

ループ状になっているパイルは短いですが密度も高く、耐久性に富み、裏材もしっかりしているので、 カーペットの重要な役割である踏み心地や暖かさが保たれています。
 
一方、最近流行のシャギーというのはどういうものなのか。これ↓ です。
 
海底に生えている海草ではありません。シャギーの断面図です。
 
一般のループカーペットのパイルの長さが7~10mm程度であるのに対して、シャギーはその長さが25~50mmくらいあります。一方で、パイルの密度は、一般のカーペットと比べてかなり粗いのが特徴で、長いパイルを掻き分けると基布の部分がよく見えます。
 
デザインはシンプル、でもその毛足の長さゆえ、見た目の存在感があるのでこの数年はブームといっていいほど、人気があります。

 
で、ここからが「シャギーの品格」という本題に入るのですが、

ブームとなると、色々な品質の商品(悪いものも)がでてくるのが世の常。
 
つまり、安かろう悪かろう。ってやつです。
 
見た目にはあまり違いはわかりません。触ってみても、あまりわからないかもしれません。 しかし、実際に敷いて踏んでみれば、 わかります。薄っぺらで硬い床を踏んでいるのと変わらない感触。「踏み心地の良さ」をラグ、カーペットの最も重要な要素だと考えているカーペット伝道師の私としてはこれは許しがたいことなのです。

さて、何が違うのか? 上記のシャギーの断面図をもう一度ご覧ください。 基布の下に不織布や麻などの裏材(バッキング材)が使われてないのがわかると思います。 これがないから、上から体重をかけて踏みつけると、柔らかな素材のパイル部分は簡単に押しつぶされ、まるで床をそのまま踏みつけているかのように感じられるのです。

さて、それでは どうすれば踏み心地がよくなるのか??
 
その1. パイル糸の密度を上げる。
その2. パイル糸そのものを太くする。
その3. バッキング材をつけて強化する

その4. 長いパイル糸の間に、ループ状のパイルを挟みこむ。
 そうなのです。シャギーだからと言って、踏み心地が薄っぺらというわけではないのです。その3、その4あたりを考慮したシャギーラグであれば、価格はそこそこ高くなるかもしれませんが、 手触りの良さ、見栄えの良さだけでなく、ラグ、カーペットとして本来あるべき、暖かさや踏み心地の良さを兼ね備えた「品格あるシャギー」と呼べるものが出来上がります。ぜひ、皆さんにはそういうものを使って頂きたいと思うのです。
 
繰り返しますが、手で触ってもその差はわからないかもしれません。なぜならシャギーのパイル素材には手触りのいいものが使われているケースが多いですから。 しかし、ラグ、カーペットは床に敷いて踏みつけるものなわけですから、踏みつけられることに耐えうる耐久性というのはやはり必要なものなのではないでしょうか。

余談になりますが、シャギーと言うと実は以前は、掃除がしにくそう。という理由であまり人気は無かったのです。 しかしながら、最近では、掃除機の性能もあがっていますし、あまりその辺は気にされなくなった方が多いようです。たしかに汚れや小さなゴミなどは長いパイル糸に隠れてほとんど目立ちませんから。 極端に几帳面でキレイ好きな方でなければオススメできる敷物です。

以上、シャギーを選ぶ際のご参考に。




 

2013年2月9日土曜日

汚れの目立ちにくさということ


カーペットの汚れの目立ちにくさについてお話してみたいと思います。 汚さないのが一番いいのですが、そうはいきません。 汚れがつきにくい、あるいは取れやすいということはカーペットを選ぶときの大切な要素といえるでしょう。

いくら、汚れに強いものを選んだとしても、生活している以上、汚れがつくのは当たり前ですし、いかに上手くお手入れをしたとしても、どうしても汚れやしみは残ってしまう事があります。そんな時、頼りになるのが汚れの目立ちにくさという要素。
 
シャギーのように毛足が長いものや、ヨーロピアンデザインなどのように細かい柄がはいっているものは、 シミがのこっても毛足に紛れ、あるいは柄の中に溶け込んでカモフラージュされシミは目立ちにくいものです。 
 
ここでは、シャギーや柄物は例外として、無地のカーペットの汚れの目立ちにくさについて触れてみましょう。

 
実験をしてみました。

色によっても目立ちにくさは大きく違いますが、ここではカーペット表面の形状によってどう見え方がちがうのか。について

 
準備したのは6種類のカーペット。
 
(A)カットタイプ(白っぽい色)
(B)カットタイプ(ベージュローズ系の色)
(C)ループタイプ(白っぽい色)
(D)ループタイプ(ナチュラル色)
(E)リップルタイプ(ナチュラルベージュ色)
(F)バーバー色
(羊の毛のいろそのまま、かつ、白っぽい毛と黒っぽい毛がまじっていて一種の地模様のようになっています)

 
実験はこれらのカーペットに、少量のコーヒーをこぼし。シミの状況を調べたもの。シミをつけた直後と、簡単なシミ取り処理をした後の様子を撮影してみました。
 
それぞれ上段の画像は、シミをたらした直後、コーヒーが浸み込んだ時点で撮影したもの、いずれも、しっかりとしたシミになっていますね。
 
下段は、それから20分後、 エタノールを浸み込ませた濡れティッシュで20回叩いた状態。

(コーヒーの量、シミをとり始めるまでの時間。シミを取るために濡れティッシュでたたく回数などの条件はすべて統一させています。)

 
それでは、見ていきましょう。 ずらりと画像が並びます。

 
(A)カットタイプ(白っぽい色)

 シミ付着直後↓
 簡単なシミ取り処理後↓
明らかにシミが残っているのがわかります。
 

(B)カットタイプ(ベージュローズ系の色)


シミが残っているのはわかりますが、ベースの色がシミの色に近いため少し目立ち難いように思えます。
 

(C)ループタイプ(白っぽい色)


色は(A)のものと同じくらい白っぽいのでシミはよくわかりますがループタイプはもともと表面の低い部分が黒っぽく見えるためカットタイプのものよりはシミが目立ち難い様子がご理解いただけるかと思います。
 

(D)ループタイプ(ナチュラル色)



繊維そのものが色がミックスされているタイプなので、コーヒーのシミはどこにあるのやら??
 

(E)リップルタイプ(ナチュラルベージュ色)


リップルタイプとは表面に高い部分と低い部分があるタイプのこと。特にこのカーペットは低い部分に違う色のパイルが織り込まれている影響もありより、目立ちにくくなっているのではないかと思います。
 

(F)バーバー色 


このカーペットに関しては、白い毛と黒い毛をミックスして使用し地模様となっているため、柄物に近いといっていいでしょう。肉眼ではシミはわかるのですが、画像にしてみるとほとんどわからないですね。 


いかがでしょう?
 

(A)(B)と(E)(F)ではかなりの差が出てきています。あくまでもシミの量や処理の仕方などは同じ条件で行ったものです。


カーペット伝道師の私が、カットタイプのカーペットではなく、ループタイプ、それも表面が平らなものではなく、少し凸凹があるリップルタイプのものをオススメする理由がわかって頂けるのではないかと思います。

色についてはナチュラルベージュ系、がやはり目立ち難いと言えますね。 シミの素材がコーヒーであるからとも言えますが、実際に汚れというのはそういう色をしたものが多いものです。

余談になりますが、この実験で使用したカーペットは全てウールカーペットです。簡単なシミ取り処理でかなりシミがとれているのはウールカーペットならではであったかと思います。さらに、ウールカーペットは、使用しているうちに少しづつ表面が削れ落ちていきますので、(パイルがなくなってしまうという意味ではないのでご心配なく)、時間の経過によって、その削れ落ちた繊維片とともに、残ったシミも取れていくという利点もあります。カーペット伝道師がウールカーペットを強くオススメする理由のひとつでもあります。

以上、簡単な実験でしたが、

カーペットと汚れに関しては、汚れにくさ、取れやすさということと同様、汚れの目立ちにくさということも重要な要素であることご理解頂きたいと思います。





 

2013年1月31日木曜日

カーペットのシミには?



あ、コーヒーこぼしちゃった! 
 
こんな時どうしたらいいの? に、 カーペット伝道師がずばりお答えします。 


普段のカーペットのお手入れの基本は、ひたすら掃除機掛けなわけですが、
コーヒーこぼしたり、お皿ひっくり返したり。生活してりゃいろいろありますね。

こんなとき↓

 何かをこぼして部分的に汚したときの応急処置としては、

濡れタオルで叩く! これに尽きます。


正確に言えば、シミの種類によって、それに応じた方法で対処するのが一番いいわけですが、 いちいちそんなこと考えてる暇はありません。

まずはすばやく行動することが大切。 食べ物をこぼしたお子さんをしかるのも後にしてください。(~o~) 


カーペットの表面に浮かんでいるものは つまみとる。液体で浮いているのはティッシュペーパーなどで静かに吸い取る

その上で、 タオルを水でぬらしてシミをたたく。目的はシミを水とともにタオルに吸い上げることです。叩いているとタオル側に色がついてきますので、場所を変えながらそれを繰り返す。

タオルのほうにドンドン汚れが移動してきます。↓
擦ると横に広がりやすくなります。垂直に叩く事でそれを少しでも防ぐことができるようです。

タオルをかぶせた状態でブラシなどで上からトントンと叩くとタオルがカーペットのパイルの隙間に入りこむのでより効果が上がります。だから、ブラシが近くにあればそれで叩いてください。ただ、ブラシを探しているヒマがあったら叩いたほうがいいと思います。

はい、取れました↓
 
水でぬれますので、濡れた部分は周りとは違う色に見えるかと思いますが、乾くにつれてシミは目立たなくなっていることでしょう。

動画にしてみました↓



 
タオルがない場合は、ウェットティッシュもいいですね。 

さらに、エタノールがしみこませてあるオフィスのお掃除用のシートなどがあれば、これで叩くとコーヒーなどはとてもよくとれます。

私はアスクルさんで買ったこれ↓を使ってます。

 

大切なのは初期動作、コーヒー程度であれば、こぼしたときにすばやく処理をすれば上記の方法で大体キレイになります。コーヒーだけでなく、水で溶ける水溶性の汚れなら同様の方法で対応が可能です。

油汚れなどには効果がないかもしれません。ただ、汚れが水溶性かそうでないかは 瞬時に見分けることは難しいですよね。迷っているうちにシミがだんだん固まっていくことを避けるために、明らかに油だとわかっているケース以外は、まずは上記の方法で溶かして吸い上げる方法がオススメです。 それで効き目が無いときに、水の代わりに中性洗剤を薄めたものを使う、さらに頑固なものには市販のシミ取り剤を使うなど手段をとっていけばよいと思います。

とにかく、濡れタオルで叩けというこの方法は、少々乱暴なやり方かも知れません。シミ取りの専門家の方から見ればとんでもない。というお叱りを受けるかもしれません。それはシミには色々な種類があって、その種類によって対応法は違ってくるからです。

ただ、あまり細かいところにこだわってしまうと、かえって有効な応急処置のチャンスを逃してしまうことがあります。だから、私は、あえて、

汚したらまずは

1.つまみとる。(吸い取る)
2.濡れタオルで叩く


これをやってみてください。とお伝えしたいのです。