2012年11月8日木曜日

床暖ですが大丈夫ですか?

カーペットを敷きたいんですが、

「床暖房ですが大丈夫ですか?」
「ホットカーペットのカバーとして使えますか?」

よく聞かれるご質問です。
答えは、「ほとんどの場合使えます。」

ポイントはラグ、カーペットの裏側にあります。ラグ、カーペットの裏面は
大きく分けて不織布、ジュート(麻)、織りの3通りに分かれます。
 それぞれについてご説明していきましょう

まずは不織布↓
















これはポリエステルなどの繊維を織らずに固めたもの。
多くのラグ、カーペットに採用されています。物によってこの不織布そのものの
密度が違いますので、フェルトバックと呼ばれるしっかりしたものから、ティッシュペーパーを数枚重ねただけのような薄っぺらなものまで色々ありますが、このタイプのものはすべて床暖房、ホットカーペット対応と考えてもらって問題ありません。

次にジュート(麻)↓
















昔のカーペットはこれがほとんどでした。強い繊維の麻が網目状になっていますのでしっかりしていてカーペット全体がしっかりした仕上がりになります。(不織布は薄いものだと少しぺらぺらしてしまいます) 通気性もよくカーペットとしては理想的な裏材だと思うのですが、フローリング全盛となった時期に、フローリングがキズつく。などという理由で不織布のものが好まれる傾向になってしまいました。

実際、不織布よりは硬いですが、これで傷つくような木ならフローリングのほうに問題があると言いたいですね。ただ、フローリングには木の上にワックスを掛けることがほとんど、麻で強くこすったりするとそのワックス層に筋などが入ることはありますので、それをもってフローリングにキズがつくと言われてしまったのでしょう。

で、ジュートバックの場合、ホットカーペットや床暖にどうかと言う事ですが、今のところほとんどのメーカーがこのタイプのものはホットカーペット対応とは謳ってはいません。なぜかというとそれはカーペットの構造に関係しますので、ここで断面図を見ていただきましょう。

















パイルと基布を接着するためにつかっているラテックス(糊と考えてください)。これが熱によって硬化して接着量を失ってしまうものがあるからです。

ただ、現在はそこそこの品質のカーペットであれば耐熱性があるラテックスが使われていますので、本当はホットカーペットOKとしてもいいのではと、私は考えていますが、メーカー各社さんは慎重な態度をくずしていません。(口頭では問題ありませんって言ってますけど。)

したがって、裏面が麻張りのものは、絶対大丈夫かと言われると、避けてくださいといわざるを得ないのですが、よほど安かろう悪かろうのカーペットでない限りは大丈夫と考えてもらっていいかと思います。

問題があるとすれば・・・長期間の使用の末、熱で硬化したラテックスが粉状になって床に落ちることがあるということで。実はこれは時々あります。 また、裏面が不織布のものでも同じようなことがおきていることはあるのですが、麻は隙間があるのでその隙間から床に落ちてしまうのです。

仮に、この粉落ちがあったとしても、ラテックス自体は無毒のものですし、たちまち接着力がなくなり、パイル糸が抜けるということでもありませんので… 仮に粉落ちがあったとしてもそれは大きな問題ではないと私、カーペット伝道師は考えています。


次に、ウィルトン織りなどの織りカーペットの場合。
裏面はこんな感じ。↓
















これらは基本的には床暖房、ホットカーペットカバー対応と考えてもよいかと思います。ただ、一部の商品においては織り目を固定するため若干のラテックスなどを使っているケースがあり、このため、従来は対応付加と言われていたものがありました。このため現在ではメーカーによってあるいは品物によって、対応が変わってくることがありえますが、基本的には問題ないといっていいでしょう。

裏面で、問題になるとすれば、ゴム系の裏材が使われているケース。
これは、まれに熱のためゴムの部分が溶けて床にくっついたりすることがあるようですので、念のためメーカーに確認をした方がよいと思います。私が取り扱う商品の中では該当するものがないので、詳しいことは申し上げられません。

以上が、裏面の構造によって、床暖やホットカーペットカバーとして使えるかどうかの判断となります。


次に問題になるのは使えたとして、

熱がうまく伝わってくるのかどうか。という点。

答えは… 伝わってきます。 ただ、厚みがあればあるほど、密度が高ければ高いほど伝わり方は遅くなりますし、効率が悪くなることは避けられません。

厚みのあるものはカーペット全体が暖まってくる感じですので、薄っぺらいカバーで踏んだところが熱くなり過ぎるよりもいい。という考え方もできるかと思います。これはあくまでも感覚の問題ですので、どこまでがOKというものではありませんね。 、

また、ホットカーペットのカバーとして使う場合 ラグ、カーペットとして厚みのあり、素材が硬いものは、ホットカーペットの本体分の上の部分がすこし浮き上がってしまうことも避けられませんのでその点は考慮しておく必要はあるでしょう。

以上、ラグやカーペットを床暖房やホットカーペットの上に使えるかという観点でご説明させて頂きました。


ここでカーペット伝道師として申し上げたいこと。

ホットカーペットについては専用のカバーもあるわけですからそれを使えばいいという話ではありますが、残念ながら、カバーはあくまでもカバーとしてしか考えられていないようで、敷物として質のあまりよくないものが採用されているケースが多いと言わざるを得ません。 部屋の中で生活していて、目に触れるもの、足で感じるものはホットカーペット本体ではなく、カバー…つまり敷物の部分なのですから、満足度の高いものを選んで頂きたいですね。

また、床暖房のメーカーさんにとっては、床暖房の上に敷物を敷かないでくださいというお立場であることは理解できます。ラグ、カーペットの良さが暖かさだけであるならば床暖房があればそれですむことかもしれません。

しかしながらカーペットにはそれ以外に弾力性だとか、装飾性だとか、ホコリを舞い上がらせないだとかの、いろいろなすばらしい機能があるわけですから、

 ぜひ、床暖房のお部屋にも、ラグ、カーペットをお使いください。


 

1 件のコメント:

  1. こんにちは、初めまして。
    有力な記事をありがとうございます。ご質問させて頂いても宜しいでしょうか。
    私は現在フックドラグという手法で麻布にメリノレインボウの毛糸を引っ張り出してラグを手作りしいます。玄関マットサイズなのですが裏の処理に困っていて・・・玄関マットですので滑るのが困るのですがやはり滑り止めシートは床にくっついてとれなくなると言いますし・・・。
    そのためラテックスを購入し、それをハケで少しづつ塗ろうとして買ったのですが、ラテックスも、ゴムなので結局滑り止めシートみたいに床に張り付くのではと、思いとどまりました。
    裏が毛糸が出ていたりして見栄えが悪いのでラテックスで隠しつつ滑り止めにもと思っていましたが、どうしたらいいかわかりません。
    いきなりで申し訳ないのですが、裏処理をどうしたらいいのか教えていただけませんでしょうか。
    ラテックスで重ね塗りしつつ、重みを出して、麻布や、不織布を貼ればくっつくことがあまりなく、滑りもそんなにしないかな?と、今のところはこんなことしか思いつきません。
    どうかお知恵をお貸しください。

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